12.月に一度の……?

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 4人用の個室に通された僕は、林田さんの正面に座っていた。  そこは林田さんが知り合いに教えてもらったという、最近オープンしたばかりのカフェレストラン。居酒屋と足して割ったような形態のお店だが、アルコール類は置いていないのが特徴らしい。  主にフルーツジュースなどを使った、オリジナルのノンアルコールカクテルが有名で、普段お酒が飲めない人や、仕事帰りのOLさんたちにとても人気があるのだと、僕も姉から聞いたことのある店だった。 (あと30分くらいは二人きりってことか)  林田さんがメニュー表に視線を落としているのをいいことに、僕は密やかに息をつく。いつも4人でやりとりをしているトークアプリの画面には、確かに萌々(もも)ちゃんからも遅刻するとのメッセージが入っていた。 (まぁ、いいけど……)  今更林田さんと二人きりだからって、気まずいとかは思わない。  思わないけれど、よく考えたらこんな密室で二人きり――しかもあと30分は誰もこない――という状況は初めてかもしれない。
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