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4人用の個室に通された僕は、林田さんの正面に座っていた。
そこは林田さんが知り合いに教えてもらったという、最近オープンしたばかりのカフェレストラン。居酒屋と足して割ったような形態のお店だが、アルコール類は置いていないのが特徴らしい。
主にフルーツジュースなどを使った、オリジナルのノンアルコールカクテルが有名で、普段お酒が飲めない人や、仕事帰りのOLさんたちにとても人気があるのだと、僕も姉から聞いたことのある店だった。
(あと30分くらいは二人きりってことか)
林田さんがメニュー表に視線を落としているのをいいことに、僕は密やかに息をつく。いつも4人でやりとりをしているトークアプリの画面には、確かに萌々ちゃんからも遅刻するとのメッセージが入っていた。
(まぁ、いいけど……)
今更林田さんと二人きりだからって、気まずいとかは思わない。
思わないけれど、よく考えたらこんな密室で二人きり――しかもあと30分は誰もこない――という状況は初めてかもしれない。
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