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萌々ちゃんとの約束を守って、僕はあれから林田さんともよく話すようになっている。結果、林田さんは林田さんで魅力的な女の子だってことはよく分かった。
かと言って、僕の気持ちが萌々ちゃんからぶれたことはないけどね。
「時間あるし、先に飲み物だけ注文しようか」
メニュー表とにらめっこしたままの林田さんに声をかけると、
「あ、うん。じゃあ、私この紅茶のカクテル……ホットで」
珍しくおずおずとした様子で顔を上げた彼女が、僅かに目線を落としたまま言った。
……うん。
やっぱり萌々ちゃんの勘? は当たっているんだろうな。
そう思ったのはこれが初めてじゃなかったけど、僕はひとまず気付かないふりを続けることにした。
「美味しそうだね。僕もそれにしようかな」
僕は何でも無いみたいににっこり笑って頷くと、天板の端に置いてあったコールボタンを押した。
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