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テーブルの上には、紅茶ベースのノンアルコールカクテルが二つ置いてある。
ノンスイートでカロリーが低いらしく、読者モデルをしているという林田さんが飲むにもちょうど良かったらしい。
萌々ちゃんや楓馬がくるまで、恐らくはまだ20分はある。
けれども、いつもは明るくおしゃべりな印象の強い林田さんが、今日はなぜか妙に静かだし……。ってなると、ここはやっぱり、僕が間を持たせるべきだよね。
「林田さん……なんか元気ないね? 仕事で何かあったとか……?」
「えっ……」
「あ……ううん、そういうわけじゃないの」
「そう?」
軽く乾杯してから、それぞれひと口ずつ嚥下する。
まもなく温かな液体が喉奥へと滑り落ちていくのに、思わず僅かに目を細めた。
……なるほど、これは美味しい。レモンとミントがほのかに効いたちょっぴり大人な味というか。思ったよりも熱々だから、猫舌の人はすぐには飲めないかもしれないけれど、そこは僕には関係ない。
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