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「じゃあ……テストの疲れが出てるのかな」
僕はグラスを天板に戻すと、改めて林田さんに微笑みかける。
目が合うと、彼女は淡く目端を染めて、「う、うん。そうかも」と誤魔化すように笑った。
……あぁ。これはあれかな。
さっきから密かに思っていたけれど……今日、もしかして彼女は――。
「ねぇ、柚弦くん……。良かったら、今度……一緒に映画とか行かない?」
「ん?」
「嫌じゃなかったらでいいんだけど……できれば、二人、きりで……」
そっちか……。
彼女の性格からして、もっとストレートに来るかと思っていたけど、意外と慎重なところもあるらしい。
僕は考えるようにカクテルグラスに口を付け、更にゆっくりとそれを数口飲んでから、静かに答えた。
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