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柚弦くんと乾杯をするとき、お互いのグラスを触れ合わせただけですごくドキドキしてしまったの、彼は気付いているかしら。
紅茶のカクテルを口に含みながら、全然味がしなくて戸惑ってしまう。
私にこのお店をお勧めしてくれたモデル仲間の話では、「レモンとミントがほのかに香る大人な味」で「すごく美味しい」って話だったのに。
柚弦くんも、いつもと雰囲気の違う私を不思議に思ったのか、心配してくれて。
適当に相槌を打って誤魔化す私に、どこまでも柚弦くんは優しくて、すごく素敵な王子様スマイルまで見せてくれるの。
ああ、このままじゃ駄目だ。
私はバクバクする心臓を押さえながら、柚弦くんをじっと見つめた。
「ねぇ、柚弦くん……。良かったら、今度……一緒に映画とか行かない?」
思い切って言った言葉に、柚弦くんがキョトンとして。
私はもうそのときには後には引けなくて、一息に言い切ってしまったの。
「嫌じゃなかったらでいいんだけど……できれば、二人、きりで……」
って。
柚弦くんは何て答えるだろう。
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