13.波瀾万丈の予感?

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 恥ずかしいけれど、スッピンのまま夜に外へ出たら、結構高確率で補導の人に声をかけられる。  だから私、普段から「大学生です!」と証明できるものの携行は絶対で。  ふわりとしたベージュのティアードブラウスにジーンズを合わせて、モカ茶の花柄レース編みのトートバッグを持つ。  その中にお財布やハンカチ、スマホなどと一緒に学生証が入っているのを確認して下駄箱へ。  少しだけ背が高く見えるようにウェッジソールのパンプスを合わせることにしたけれど、もし靴を脱いで座るような席だったら、無駄な抵抗だよね。  あ。そもそも座ったら意味ないか。  でもまぁ、外を歩いているときには役立つし。 「行って来ます」  振り返って言ったら、珍しく玄関先までお父さんが出てきて「萌々(もも)、変な男に絡まれないように気をつけるんだよ」って眉根を寄せるの。  私に絡んでくるような奇特な男性がいるとか思っている時点で、お父さんはやっぱり人の親なんだなぁと思ってしまった。 「ナンパより補導に気をつけろよ!?」  そんなお父さんの背後からヒョコッと顔を覗かせてにやりと笑う(さく)の発言のほうが、案外的を射ていて、悔しい。
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