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恥ずかしいけれど、スッピンのまま夜に外へ出たら、結構高確率で補導の人に声をかけられる。
だから私、普段から「大学生です!」と証明できるものの携行は絶対で。
ふわりとしたベージュのティアードブラウスにジーンズを合わせて、モカ茶の花柄レース編みのトートバッグを持つ。
その中にお財布やハンカチ、スマホなどと一緒に学生証が入っているのを確認して下駄箱へ。
少しだけ背が高く見えるようにウェッジソールのパンプスを合わせることにしたけれど、もし靴を脱いで座るような席だったら、無駄な抵抗だよね。
あ。そもそも座ったら意味ないか。
でもまぁ、外を歩いているときには役立つし。
「行って来ます」
振り返って言ったら、珍しく玄関先までお父さんが出てきて「萌々、変な男に絡まれないように気をつけるんだよ」って眉根を寄せるの。
私に絡んでくるような奇特な男性がいるとか思っている時点で、お父さんはやっぱり人の親なんだなぁと思ってしまった。
「ナンパより補導に気をつけろよ!?」
そんなお父さんの背後からヒョコッと顔を覗かせてにやりと笑う朔の発言のほうが、案外的を射ていて、悔しい。
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