ひと夏の思い出アプリ

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夏休み、空いた時間にいつもの様にスマホでネットサーフィンしてた時の事だった。気になるアプリを見つけた。「ひと夏の思い出アプリ」。特に詳しい説明も無くそれが怪しさを醸し出してたのかダウンロード数は0だった。僕が第一号になるのもある意味ひと夏の思い出になるな、そんな軽い気持ちでアプリをダウンロードした。 ダウンロードを終え早速アプリを起動してみる。途端に波音が流れた。うーん流石ひと夏の思い出アプリ、そう感心してたのも束の間何も起こらなかったのだ。単に画面に「ひと夏の思い出をお楽しみくださいね」と表示されるだけだった。いやいやいやいや・・・何だよ?故障かよ?と色々いじくってみるも何も起こらず。何かしら期待してたのか僕は多いにヘコんだ。 アプリを切ろうとしたその時目に飛び込んできたのは「このアプリに関するお問い合せ先」文字。普段の僕は、よっぽどの事で無い限り問い合わせる事など無い典型的平和人だが今回は妙に問い合わせたくなり、スマホ上で指を滑らせ始めた。「アプリを起動したのに何も起こらないんですが」無対面であるからこそ、強めに打ち込めるのもネットならではだ。 数分後ひと夏の思い出カスタマーセンターから返答メールが届いた。「お客様のひと夏の思い出をお送りください」、何だよ?新手の文通アプリか?どうせサクラ従業員がお相手なんだろ?とそれでも真面目に思い出を振り返り始めた。「田舎への帰省した事」「休み前に好きな子に告ってOKを貰えた事」「休み中の部活に熱を上げた事」特に思い出深い内容を書き込み送信した。 間もなく返答メールが来た。 「お客様のひと夏の思い出、拝見させて頂きました。大変充実されてたのですね。その思い出を胸に安心して天国へお旅立ちください。」 ハッとした。あのダウンロード数0は、死人にしか見えないからだったからかと、ひと夏の思い出を土産に天国へ行けるアプリだったのかと。 終
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