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きっちりと文章を頭の中で練っている。
合宿場所だろうか、いくつかの山の風景がフラッシュ。あたりをつけているのか。細かい数値もいくつか。そして
サンライズの顔が、みえた。ほんの一瞬。
彼は今こちらを見ていないのに。
それは特に珍しいことではない、が、その顔は証明写真だった。
他にも、ホーク、ヤルタ、メントス、ギガンテの顔写真も。
この男はあらかじめ、ここに集うメンバーの顔写真付きファイルを閲覧していたようだ。
それから何かの施設が見えた。
白っぽいあまり背の高くない郊外の施設、中は病院か? それとも大学の実験室?
入り口にいるのは……声まで聞こえる。外国語だ、その後妙にはっきりとした日本語が。
「キミにお願いした件だが」
急にすべての映像と音が消えた。
まずい、また深入りしすぎたか?
ベイカーがじっとこちらに目をくれている。
「何か質問が? サンライズ」
「いえ」
周りの連中は、さぞぼんやりした新人だと思っているだろう。
「では今日はこれで解散、合宿前日までにまた、細かい作戦会議を何度か行う。次回は来週火曜午後17時より」
それぞれ、書類を持って立ち上がり、外に出て行く。サンライズもつづいて外に出ようとして、ふと後ろからの鋭い視線に気がついた。
ベイカーが、じっとこちらを見ていた。
―― 何を言うつもりだ?
「お疲れさま」
ただそれだけだった。
サンライズも、面と向かっては相手の心に立ち入る勇気がない。
「お疲れさまでした」
それだけ口にして、会議室を後にする。
気づいたら、どんよりと重苦しい頭痛に見舞われていた。
サンライズは足をひきずりながら、デスクに帰っていった。
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