オリーブを知るさつき

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「あら、バイトさん。本名聞いてないん? オリーブなんて小洒落た名前、名乗ってるけど、本名はザ讃岐人な名前なんで。ねー? 鬼無松子(きなしまつこ)ちゃん」  さつきが嫌味たらしく言うと、オリーブは本名禁止と、顔を真っ赤にして怒っていた。さつきは、オリーブをからかって遊んでいる。二人の仲が良いことは明白で、テンポよく罵りあっている。  カモミールは割って入る勇気はなく、アルバイトでないことを否定するタイミングを失った。  それよりも、オリーブの名前が思っていたより勇ましく、骨太な印象だったことに驚きが隠せない。それこそ反応に困っていた。  アルバイトの二人を見ると、パセリは、カモミールの反応に深く頷いていた。自分もそうだったと言わんばかりだ。バジルは、反対にカッコイイよねと目を輝かせていた。 「結局、何しに来たのよ、さつき!」  オリーブは不機嫌に怒鳴る。  さつきは、どこ吹く風という態度で、もう一杯ブレンドティーをカップに注いで、また一気に飲み干した。  ふわふわと香るブレンドティーの香りが、一時的にでも場を落ち着かせる。春の風で、カーテンが揺れると、庭の花の香りをつれてきた。 「緑の香りって癒やされるわー。言ったでしょ。去年貰ったカモちゃんの植え替え。適当に掘って植えるなって言われたから、わざわざ聞きに来たのよ」  夜勤明けで。と続けるさつきは、確かに疲れが見える。目の下に薄っすらクマもある。ブレンドティーを飲む手がすすむのもよく分かる顔色だ。  三人娘は、揃ってさつきに同情する。だが、オリーブは容赦ない。 「料金は頂くわよ」 「はいはい」
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