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料理始めました。
私の名前は金倉 明美。
ずっと望んでいた一人暮らし。
やっとの思いで手に入れた。
一番困っているのはお金だ。
暫くは節約していくしかない。
さぁ、今日から自炊をしよう。
私の産まれて初めての自炊。
ネットや本を読みながら献立を考えた。
「よし!今日はこれをしよう!」
レシピを見る。
鴨出汁か。
私は鴨を手に入れ不器用ながらに
捌き始め、鍋に入れた。
料理が楽しかった。
もっと、いろんなものを作ってみたい。
とにかく節約をする。
買い物は極力しない事。
気付けばたくさんの食料を抱えていた。
「なーんだ、わざわざ買わなくってもこんなにたくさんの食材があるじゃない。1人じゃ食べきれないから冷凍しておこう。」
私はルンルン気分で家に帰り、食材を捌き、
冷凍と冷蔵に分けて保管した。
ある日友達を招待する事となった。
「そうだ!今日は焼肉にしよう!」
ピンポーン。
友達がやってきた。
「どうぞー!上がってー。」
部屋の中が少し独特な匂いがし、友達は一瞬眉間にシワを寄せた。
「ねー?ここ新築の良いアパートだったって言ってたわよね?」
「そうよ?どうかした?」
「なんか、変わった匂いしない?」
「そう?別に気にならないけど。」
そして焼肉の準備を始めた。
「今日はいっぱい食べてねー!」
「いただきまー・・・・」
友達が箸でとった肉には動物の毛の様な物が付いていた。
「ねー・・・。これなんか付いてるんだけど?」
「・・・あー!ごめんね!ちょっと洗うね!」
「そういえば明美・・・お金が無くて大変って言ってたけど、こんなに沢山のお肉・・・どうしたのよ?」
友達が恐る恐る聞いてきた。
私は友達があまりにも深刻な顔で言ってきたので、面白くて笑った。
笑いすぎて喋れなかった。
友達は何も言えず、恐る恐る私に近づいてきた。
友達はキッチンの状態を見るなり、手で口を押さえ荷物を持って出て行った。
「何でだろう?こんなに美味しいのに。」
私はそうつぶやき、一人焼肉パーティーを始めた。
終わり。
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