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「おまえはどんなものでも開けられるのか?」
昼下がりに少年を訪ねて来た二人目のお客さんは兵隊さんでした。
普段は王様の側にいる兵隊さんが、なぜこんなところにいるのでしょう。
「どんなものか聞かなきゃ、ぼくだって開けられないよ」
うむ、と言ったままむずかしい顔をした兵隊さんは小さな声で。
「オレは王様の洋服箪笥の鍵を守る兵隊なんだ、だけど夕べその鍵をなくしてしまった」
王様の周りには色んな係の兵隊さんがいるようです。
「ねえ、どうして鍵をなくしたの?」
少年はまたニヤリと笑いました。
「鍵をなくしたのは、あなたじゃないんでしょう。王子様がイタズラしてどこかに隠しちゃったのでしょう。
だったらそのヤンチャな王子様をひっつかまえてはくじょうさせちゃえばいいんだよ。
王子様だって子供なんだから教えてあげないと! いいことも悪いこともわからない王様みたいな大人になっちゃうよ」
兵隊さんは驚いて、その少年の顔を見てしばらく考えていましたが。
「おまえ、あまりうかつに王様の悪口は言うなよ」
そう笑ってパンを一つ置き、少年の頭をなでお城へと帰って行きました。
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