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いつもそうやって来た。
「彼女とは、家は近いの?」
「あぁ、近い」
「じゃ、待ち合わせは迎えとか?
それとも駅?」
「あぁ、駅かな?」
少し照れながらあたしの話を聞いて頷く拓海の背中を、いつも押してきた―。
醜いよね? あたし。
背中押しながら、何度も思ったことあるもん。
このデートが失敗すればいいのに…って。
プランが終わりに近付く時、あたしは自分の気持ちを誤魔化すように拓海に問いかけた。
「他にいないの? 相談する人~。
あたしみたいに彼氏いない歴17年に相談しても仕方ないっしょ?!」
すると拓海はソファーから腰を上げ、
「そう~?
いつもひかりの立ててくれたデートプランは好評だったよ。
椎名先輩に」
「・・・。」
あたしに笑顔を向けて、答えた。
イ・ジ・ワ・ル。
その拓海の笑顔に、
答えに、
あたしは胸の奥がぎゅっと締め付けられる―。
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