6.あなたのためにできること

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「別に、失礼なことだなんて、そんなことはされてませんよ。雪野さんの勘違いじゃないかしら?」 栗林専務の奥様が視線を逸らす。発せられたその声は抑揚のないものだった。 「そんなはずはありません」 心配そうな申し訳なさそうな顔をしていたはずなのに、創介さんは突然厳しい口調でそう言い放った。 「勘違いですむような些細なことではないはずだ。どれだけ彼女が気に病んでいたかを見ていたから分かります。私は、妻の性格は十分すぎるほどに分かっている。昨日今日、出会ってすぐ結婚したような関係ではないので」 創介さん――。 「そうらしいねぇ。なんでも、二人はもう5年もの付き合いだって言うじゃないか。創介君がそんなにも一途な男だったなんてな。私も、社長からその話を聞いた時は驚いたよ」 副社長がそう言ったのを聞いていた栗林専務の奥様の表情が、一瞬変わる。 「妻は、慣れないこともあり、まだまだ、至らない点はあると思います。でも、自分の妻のことではありますが、彼女が真面目で人に対して誠実な性格だと知っている。 そんな彼女が悔いていることを、解消してやりたい。必要なら共に詫びて、許しを乞いたいと思っています」 「私は、別に……」 栗林専務の奥様の表情に悲壮感が滲み出て、そんな姿を見ていれば黙っていられなくなった。 「創介さん、私――」 私が咄嗟にあげた声を遮るように創介さんが言った。 「なので、もし教えていただけないのなら、あらゆる手を尽して調べるしかありません。 仕事のことなら、どんな状況でも冷静に合理的に対処できると自負しているのですが、妻のことになると、我を忘れてしまうんですよ」 創介さんの目が険しく鋭くなる。 「ずっと、これまで、大切に守って来た存在ですから」
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