きゅうりのチャームとなすのスキン

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 あの川で解散したあと、眠ろうとしたのだがどうしても眠れず、シュウに電話かけていた。 「今から、もう1回ゲームしよう」  文句言われると覚悟していたのだが、シュウは何も言わずゲームに来てくれた。 「どうするんだ? 俺たち二人で黙々とゲームやって、なすのスキンを手に入れようって言うんじゃないだろうな。そんな気分じゃねぇぞ」 「なすのスキンなんかどうでもいいよ。ハルカが参加してくれまで待つんだ」 「……気持ちは分かるけど、来るはずないだろ」  シュウに言われなくても、情けないことをしていると分かっている。それでも、ハルカともう一度話をしてみたかった。  待機画面で長い時間待っていたが、ヘッドホンの向こうからシュウのため息が聞こえてくるだけで、他に何の反応もなかった。  だんだん眠気に耐えられなくなり、いつのまにか眠ってしまっていた。  僕はいつの間にかフル装備で、スナイパーライフルをのぞき込んでいた。  深い場所でもがいている敵を撃ち抜くと、敵は沈んでいった。  けれど、敵の数は多く、僕一人では追い付かない。 「くそ! 誰かフォローしてくれ!」  シュウは川下の方に流されていて、復帰を期待できそうにない。  万事休すか……。押し寄せる敵に襲われそうになった時、上空から声が響いた。 「くらえ! 必殺! ハルカボンバー!」  大量のフラグの雨を降らせながら、ハルカは川に飛び込んだ。大きな水しぶきが立ち、大勢いた敵は水の深みに呑まれていった。  ……ハルカが浮かんで来ない。 「ハルカ? 大丈夫か?」  しかし、それは杞憂に終わった。ハルカはシュウを抱えながら、僕の横に浮かんできた。 「私は大丈夫だよ! レベルアップして、泳げるようになったんだから!」  無邪気に笑いかける。それにつられて僕も笑った。なんだか……久しぶりに笑った気がする。 「笑ってる場合じゃないよ。お盆が終わる前に、なすのスキンを手に入れないと……」 「ハルカもなすのスキンが欲しかったのか」 「うん。だって私、なすのスキンがないと、あっちに帰れないからね」  じゃあ別になすのスキンなんかいらない。ずっと負けっぱなしでいいから、このまま三人でゲームを続けていたい。  ハルカを乗せてくる、きゅうりのチャームだけで僕は十分だ。
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