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スマホは…
手に握りしめていた。大丈夫バレない。私なら。
「…」
響くんが黙り込むので、私は顔を上げて響くんの顔を見た。何か険しい表情をしていた。
まずい。
「はい!これお弁当忘れてたよ!」
響くんは笑顔になって、お弁当を渡してくれた。
りぼん結びでくくった布に覆われている弁当を。
「ありがとう…」
と、一言言った。今日は仕事じゃないし正直弁当なんて要らなかったから少し困った。
はっと我に返りぱっと立つと「行くね!」と言ってからその場を立ち去った。
エレベーターのボタンを数回押すと「7」と表示されたと同時に扉が開く。急いで入り、閉めるボタンを数回押した。
あの、険しい表情は何?
でも、きっと大丈夫。スマホは見えないように握りしめていたから。
でももし見えていたら…?
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