148人が本棚に入れています
本棚に追加
それからは早かった。
ありとあらゆるSNSを駆使、母親の情報網も父親の権力すらも、使えるものは全て使ってあの黒髪の男子のことを調べ上げた。
朱雀夏樹。
あの高校に通う、僕と同い年の男の子。
綺麗な、綺麗な男の子。
大好き。
学校が終わる時間を調べて付近で待ち伏せし、家を特定した。
郵便物を盗み見て、志望大学を特定した。
勉強に力を入れて、道内で一番の偏差値を誇る彼の志望大学に合格した。
大好き。
髪を切ってメガネからコンタクトに変えて肌に気を遣って身なりに気をつけて、とにかく人脈を広げた。
広げた人脈とストーキングで、彼と全く同じ授業をとった。
大好き。
朝から晩まで、彼を見ながら、彼と生活した。
大好き。
大好き、大好き、大好き。
朱雀夏樹くん。
可愛い可愛い、僕の朱雀夏樹くん。
接触は思ったよりも早かった。
一緒に帰っていたらなんと彼の方から話しかけてくれて、仲良くしよう的なことまで言ってくれた。
嬉しい。可愛い。大好き。
すぐに盗聴器とカメラを買った。
あんなに可愛い人、放っておいたらすぐに誰かに襲われてしまう。そんなのは許さない。
僕が、守らないと。
誕生日プレゼントと称して盗聴器とカメラを隠したぬいぐるみを渡した。
朱雀くんみたいに可愛いから、朱雀くんに似合うぬいぐるみ。
朱雀くんはぬいぐるみを気に入ってくれたみたいで、可愛く笑って朱雀くんがよく見える場所にぬいぐるみを置いてくれた。
ただ見ていただけの時なんかより、ずっとずっと朱雀くんと一緒に生活できるようになった。
外食も結構な頻度で一緒に来てくれるようになって、その度に目が潰れるくらい朱雀くんに見惚れてしまった。
最初のコメントを投稿しよう!