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第2話
俺達が行動を共にするようになると、何故だか家で籠るよりもむしろ残された時間を有意義に使って夏の思い出を作ることにした。この日は、昼間から散歩に出かけた。だが……
照り付ける太陽、湿気を持った熱気に俺と彼女はバテ気味だった。こういう時は木陰で休みながら、緑の香りを含んだ自然のエアコンで涼みながら自然を味わった。
暫くすると、夏の風物詩でもある、スイカ畑が現れた。ミツバチが飛び交う畑を彷徨いながら俺達は黒光りする大きなスイカを頂くことにした。
「甘くてさっぱりして美味しい」
「本当だわ。水分も取れて良かった」
俺は久しぶりのご馳走に欲張ってお腹が張り裂ける寸前まで食べると、少し笑みを浮かべながら
「そんなに食べるとお腹壊すわよ」
「平気だよ」
余命宣告なんてこの時は頭の片隅にもなかった。俺は彼女の笑顔とスイカと言う2つのスイーツを堪能しすぎたせいで、その後、お腹を壊すハメにもなってしまった。
数日後、何とか俺の体調も戻ってきた。だが彼女はそんな俺を心配してずっと寄り添ってくれた。こんな生活がいつまでも続けばいいと思うが運命というのは残酷で時は無残にも削られていった。
こうして心を落ち着かせる時には、いつもの場所へと足を運ぶ。
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