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「じゃあ、行こうか」
俺たちが、夜道を進んでいると、川のせせらぎが聞こえてきた。この前は気が付かなかったがどうやら近くに川が流れているようだ。昼間とは違い夜道には虫のさえずりとカエルの合唱が余興のBGMのように感じた。
すると
「わ~きれい」
彼女は目を輝かせながら飛び交う光を見つめていた。土手の近くに生える草花に漂いながら今日も光の演奏会を俺たちに見せてくれた
「綺麗ね」
何度見ても心が和む。何度見てもその幻想的な光景にあっけにとられていた。静寂な闇夜に漂うこの場所は自然の宝石箱だ。
人里離れた川の土手には蛍の光だけではなく空には雲一つない満天の星空が輝いていた
「こんな光景に出会えるなんて嬉しいわ」
「もし神様が俺たちに余命宣告をしてくれなかったら見ることもできなかったよ」
だがこの時、どうしても余命宣告の事が頭から離れずにいると妙な喪失感が俺の心を包み、この世の未練というものを感じずにいられなかった俺は浮かない表情をしてしまう
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