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「ああ。それならもう片付いたから大丈夫だよ」
なんの話だろうか。
「チヒロもほんと馬鹿だよな。もともと約束してた親友の女のことを裏切って、ミサトと俺の作った偽話を信じるなんてさ。
しかも、あのとき恨み言なんて言わなければ黙って救急車を呼んであげたのに。とどめを刺したのは俺だけど、大丈夫。
罪は全部、あの親友の女がかぶってくれるさ」
アイがチヒロをトロフィーで殴り殺してしまった。
そう思っていたが、実はとどめを刺したのは小住君だったのだ――。
「うん、また明日。会えるの楽しみにしてるよ」
小住君はこのミサトという女と浮気をしていた。しかも、チヒロをだまして彼女の夢も、アイの夢も奪った。
許せない。絶対に許せない。
電話を切ると
「これ、新しいから使い方わかんないんだよな」
つぶやきながら小住君は筋トレ用のマシンに腰掛ける。
スマホの画面をのぞき込んだまま、片手間に話しかけてくる。
「マシンの使い方を教えて――」
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