レイニー

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一番目は背の高い青年だった。 彼は意気揚々として 幼い頃から図書室に通い 本を好きになった切っ掛けの絵本に ついて話していた。 何の偶然かそれは私と同じだった。 覚えてる 題名は「」だったよね。 照れ屋さんの女の子がまるで コルクの詰まった瓶のように 言葉が詰まってしまい 葛藤して最後に蓋を開ける 優しい物語だった。 確か女の子の名前は………「」あれ? 「」だったかな。 ちょっと曖昧になったかも。 なにせ何十年も前の話だしね。 粗方話終えて満足した青年を 影の指がゆっくり右の扉を示した。 何も疑問に思うことなく 彼は右へ。 その後現れることはなかった。 次の彼女は背が低くて愛らしい。 私に友達が出来た頃の身長くらいだ。 彼女もまた 私の知ってる本の話をしてた。 「」の話はよく覚えてる。 好きだったな。 そんな心地でほっこりと話を聞いていた。 そんな彼女も右の扉に 案内されて行った。 次の少年は活発な子だった。 彼は私が読まなかった 本の話をした。 名作と呼ばれた興味で借りたことがあるが 結局食指が向かず読まなかった。 そんなに面白い内容だったのか。 機会があれば今度は 読もうと思う。 彼は左の扉に 案内されて閉ざされた。
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