レイニー

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いよいよ次は私の番。 何を話そうか 内心ウキウキしてた。 だって本が大好きだったから。 自分でも物語を作りたいって思うまでの 出会って来た数々の名作。 自慢ですが学生の頃 「年間読書めっちゃしたで賞」みたいな ランキングによく居座ってました。 ちょっとした本の虫でした。 外国の昔話が特に好きで 独特な世界観に浸るのが好きでした。 そんな沢山本を読んでそうで 実はそんな大して読んでない私が選ぶ 好きだった本の内容は 雨の降る町に住む少女が 太陽に恋をして… 違う 「」という名前の少女が 異世界を冒険する… 違う 意地悪な妹夫婦に 虐げられた少年が魔法を… 違う 違う のんびりした少年の 元に未来のロボットが… 違う 町の名前が「」で 違う ライバルの名前が「」 違う 本の題名が 違う 作者さんの名前が 違う 紹介したテレビが 違う 違う 違う……… なんで? 私は覚えてる。 知ってる筈なのに どれも違う。 他の人のように上手く説明出来ず 冷や汗をかいてばかりで止まっていると 私にしか 聞こえない声で 誰かが言った。 『『あーあ、君も忘れちゃったのか』』 忘れてない! 覚えてる! 反論したいのに口にはコルクで 栓をされたみたいに言葉が 出なくて 聞こえた声の彼女の名前は「」で 全部 覚えてる筈なのに 筈なのに… 私は扉をくぐれずに 次の瞬間目が覚めた。 冷感マットは 寝汗ぐっしょりで カーテンから 覗く白い太陽が眩しい。 ただひたすら 心臓が 爆音で鳴っていた。 私は夢を全部覚えてた。 だけど何も覚えてなかった。 あれじゃ 夢は 終わってないのかな。 私の好きだった本は……? 次は貴方が聞かれる番ですか? 貴方はまだ覚えていますか?
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