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衣擦れの音
荒くなる呼吸音
一度も重ねたことのない体温
一つも何も逃したくなくて、堪えた声を象徴したように、噛んだ指に歯型が付く
チクリ
――急に痛んだのは、どこだったか
けれどそんな痛みはすぐに消えて、私は気温の暑さに溶けていく。
ずっと求めていた熱い背中に爪を思いっきり立てて、私は10年間秘めていたものを吐き出した。
それが彼の耳に届いていたかはわからない。
一瞬体が強張ったのは知らないふりをした。
そうでないと、この熱さは冷え切ってしまうから。
もっと熱く
お互いを求めて
熱を交換して
また燃えて
そして、そして――
その熱で、私の空しい心を全部溶かして
目尻から落ちるものへと変えてください
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