6人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
5年ぶりの君は。
「夏の間だけそっちの近所行くから会わねぇ?」
2人きりのオンライン飲み会中。
数秒の沈黙が私たちの間に流れた。
「……おーい?」
訝しむ声で私はようやく息を吸うことが出来――驚きで呼吸が止まっていたこともこの時知った――同時に「もちろんっ!」と食い気味に言葉を発した。
いつぶりだろうか
会ったのは、5年前?
わぁ、もうそんなに時が経ったのか
連絡をこまめにとっていたから久しぶり、という気はしないが、それもやはり、”会う”というのには特別な響きが宿る。
「え、あ、でもいいの?」
「なにが?」
「あ、だって……」
「会いたくねぇ?」
「や、会いたい!」
「じゃあいいじゃん」
はぐらかされた。
私は独り身で向こうは既婚者。
でも、あまり踏み込んで聞かないほうがいい。
それはわかっている。
そう、所詮、私たちは一生友人。
例え私が恋心を抱いていようとも。
最初のコメントを投稿しよう!