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「へぇ~結構変わっちゃったわね~」
真っ白な外観に洋館のような作りになった図書館を前に、明子は驚いた。
前は、出張所のようなこじんまりとした建物でなぜこんな色にしたのかと思う程汚い灰色がかった外壁。中に入り歩けば、何処を踏んでも軋む床。一応本の匂いはするが同時にかび臭い匂いもしていた。
しかし今は、以前はなかったロビーがあり受付なる人が愛想よく図書館を訪れる人に笑顔を振りまいている。ピカピカの軋まない床を歩き奥に進むと、ジャンルごとに分けられた本が棚いっぱいに納まっていた。
「これなら、一日いても飽きないかも!」
明子はワクワクしながら一番端の方から本棚を眺めて行った。
明子がよく好んで読む本はミステリーや歴史もの。気持ちは早くミステリーや歴史小説の棚の方へと行きたいが、明子には時間がたっぷりある。はやる気持ちを押さえながらゆっくりと棚に敷き詰められた本の背表紙を上から下へと見ていく。
「種類もすごく多くなってる。一日じゃ見て回れなさそうね」
早く好きなジャンルの本の場所へ行きたいだけなのを、本の多さのせいにするとさっそくミステリーの棚を探す。
「あったあった」
天井からぶら下がる案内板にミステリーと書かれた文字を見つけた明子は足早にその場所へと急いだ。
棚にずらりと並ぶミステリー小説の本は、明子にとって宝の山に見えた。勿論読んだ事のある本もあるが、初めて知る作家の名も多く並ぶ。
「凄い・・・」
明子はそうつぶやくと、時間を忘れミステリー小説の世界に入って行った。
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