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「もう……
なんで笑ってるの!
怒ってるのに、怒れなくなるじゃん」
「それがオレの作戦だし」
ちょっと顔を近付けて言ったら
また「もう」と言って笑った。
そんな事をしてふざけてたら
太陽が半分位、水平線に沈んでた。
「ほら、拗ねてないで
座って」
コンクリートの上に
先に座って見せたら
留美も同じ様に隣に座った。
斜め左辺り
夕陽が沈んで行くのを
オレはスニーカーの裏と裏をつけて
両膝を広げて座り
留美は体育座りで
遠く水平線を見つめた。
波の音
夕焼けの中を行く
遠く遠く沖を走る船
左側にいる君の横顔を見たら
その目は真っ直ぐに
海の彼方に向いてた。
ポケットに隠してた
手のひらに乗る
細いリボンのかかった箱を
留美の顔の前に差し出した。
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