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② 幼馴染
僕には同じ社宅に住む幼馴染で同い年の女の子がいた。名前をエミリーといった。
母親同士の仲が良かったこともあり、物心ついた時には僕にとってエミリーの存在は空気のように当たり前のものになっていた。
幼稚園の頃までは、ほぼ毎日、互いの家を行き来していたように思う。
だが小学校入学を境に、だんだんと遊ぶ機会も少なくなっていった。僕には同い年の同性の友達ができたし、その子たちと遊ぶ方が楽しいと感じるようになっていたからだ。
それに、エミリーは他の子と違っていた。
金髪だったし、瞳の色はブルーだったのだ。
エミリーの父親は日本人なのだが、母親はいわゆる西洋人。海外の女優さんのようで、5階建ての集合住宅が4棟建ち並ぶ社宅区域の中でもかなり目立つ存在だった。
そして、エミリーの髪と瞳は母親譲りのものだったのだ。
僕はいつしか、そんなエミリーと一緒にいることで、他の人からどんな目で見られるのかを気にするようになっていた。
だから、全く接触を持とうとしなかったわけではないものの、できるだけ一緒にいることを避けようとするようになっていたのだ。
だが、エミリーの方はそんなこと気にしない。僕を見つけるとどんなに遠くても必ず大声で「サトルー!」と僕の名前を呼び、嬉しそうに手を振ってくる。
クラスメイトと一緒にいるときにそんなことがあると、僕は手を振り返すこともできずに無視するしかなかった。
恥ずかしかったのだ。
クラスメイトは顔を赤らめる僕を見て「奥さんが呼んでるぜ」などと言ってからかってくる。
その当時は、それが嫌で嫌で仕方がなかった。
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