私立探偵浜野

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 ホームページを更新した四日後、さっそくお客があった。  ソファセットに案内する。  米倉良子。  差しだされた名刺には、そうあった。  似た名前の女優さんがいたような気がするが、容姿はたぶん似ていない。  歳は六十少し手前くらい。中肉中背だが、特徴的なのはその顔。吊り上がった目と、への字に結んだ口。「無愛想」という文字を練りこんだような顔だ。  米倉良子は、名刺を取り出したハンドバッグを、腰の横にもどさない。ひざにかかえたままだ。  あのベージュ色のバッグはおれも知っているぞ。エルメスのバイキンだかパーキングだかというやつだ。ダイソーでは売っていない。  対抗上、おれも、雑誌の付録で手に入れたベージュ色のセカンドバッグをひざにかかえた。なかから名刺を出して、差しだした。  時候の挨拶もそこそこに、良子は用件を切り出した。 「ヒロちゃん――いえ、浩紀と、この女を別れさせていただきたいんです」  良子は、バイキンのバッグから、今度は一枚の写真を取り出して、ローテーブルに滑らせた。  ひとりの女性が写っていた。二十代後半といったところか。ごく普通の顔だちだ。  良子の説明はこうだった。
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