私立探偵浜野

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 おれはさっそく、座敷牢に閉じこめられた浩紀に会いにいった。間宮沙織と結婚するつもりだと言われた。意思は固そうだった。  次に、間宮沙織のアパートへ行った。なかなか出てきてくれなかった。買い物に出るまで粘って、話を聞いた。おなかが大きくなってからは、派遣の仕事をやめているという。こちらも、浩紀といっしょになる気持ちは強かった。  さて、どうしたものか?  事務所にもどって、おれは考えた。  夜になっていた。  スマホが震えた。娘の舞衣からLINEが届いていた。 〈そろそろママにあやまらないと、ホントに離婚されちゃうよ?〉  まだ小学四年生なのに、そんなこまっしゃくれた文を送ってきた。  しかし、いったいなにを謝れというのか?  現在、妻の遥香は、娘の舞衣をつれて、実家にもどっている。実家と言っても、わが家から一キロちょっとだから、舞衣の通学に支障はない。  妻が家を出ていったのは、おれがカレーライスに文句を言ったのが原因らしい。なにをそんなに怒ることがある? もう少し玉ねぎを煮込んでほしい、とお願いしただけではないか。それは確かに、お願いするときに、顔をちょっとだけ大げさにしかめていたかもしれないが。
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