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雪と小雪
空色をしたカバンが揺れて、黄色い帽子が振り向いた。
「お父さん、今日の参観日絶対忘れちゃだめだからね! 絶対だよ!」
「任せとけ! 会社にも今日は1日連絡とらんと言ってあるからな」
「ありがとう! 大好きよ」
「父さんもだよ、気をつけてな」
集団登校の列を見送り、しなければいけない家事をさっさと済ませる。
普段仕事をしているという言い訳で、たまりにたまった洗濯物は全てをベランダに干せなくて部屋の中まで占領してしまった。
ほんの少し前ならこんな光景きっと許さなかっただろうし、何よりこんなに家事ができる男になるとは思ってもみなかった。
参観日が終わったら、一緒にホットケーキでも食べに行こうかね。
そんな事を思いながら、シンクにたまった洗い物を済ませ、いいかげん家を出なければ間に合わないと時計が知らせる。
「やばいっ」
飾られた写真に手を合わせ、慌てて家を飛び出した。
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