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雨が止む気配のないまま悟を背負って、家が霞んで見える所まで戻ってくると、
「あんなぁ、俺なぁ…」
眠っていると思った悟がうめいた。
「悟なんて呼んでほしくないねん…」
「なんだそりゃ」
子供の迷い言だと思って鷹は適当に返事をする。
「大阪出る時に名前変えたんや…最高にええ名前やで」
悟はそう言ってくくくと笑い出した。
「なんて名前なんだ」
「お、知りたいか」
「その名前じゃないと返事をしないんだろ。早く言え」
「それもそうや」
そう言ったのに、悟はまだその名前を告げない。
おちょくってるのかと腹を立てて、背中の悟に顔を向けると、悟は高く天を指していた。
「そ…空?」
空を見上げて、変な名前だと思いながら鷹が言うと、
「やあい、ひっかかった! 空と俺やねん」
悟はけらけら笑って、
「まだ分からんか。
空悟や。
空を悟る…かっこええやろ?」
不思議そうな顔の鷹に言った。
…
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