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その翌日からというもの、
うたい手は、島のあらゆるものをひたすらたいらげた。
浜辺の木々にたわわにみのる果実、
漁師の地引きあみいっぱいにかがやく魚、
果ては森をとぶ七色の鳥まで、すべてが、
でかいからだとそのくちびるにのぼることばを
つくるかてとなった。
いきものを口にはこぶとき、
そのいのちが見て聞いてきたすべてのけしきを
まぶたの裏にうつしていとおしむように、
うたい手は必ずじっと目をつぶり、
一心にかみしめ、味わい、祈りをささげた。
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