南の海の島のうたびと

3/15
前へ
/15ページ
次へ
その翌日からというもの、 うたい手は、島のあらゆるものをひたすらたいらげた。 浜辺の木々にたわわにみのる果実、 漁師の地引きあみいっぱいにかがやく魚、 果ては森をとぶ七色の鳥まで、すべてが、 でかいからだとそのくちびるにのぼることばを つくるかてとなった。 いきものを口にはこぶとき、 そのいのちが見て聞いてきたすべてのけしきを まぶたの裏にうつしていとおしむように、 うたい手は必ずじっと目をつぶり、 一心にかみしめ、味わい、祈りをささげた。 0a83ccd2-2f59-420d-8265-977991a36a48
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加