南の海の島のうたびと

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やがて、うたい手は、みるみるうちに、 立ちあがるのも、一歩ふみだすのも おっくうになるほどのでかさになった。 そうして、 島でもいちばん大きな岬のふちにすわり込み、 毎日、夕ぐれどきがくると、 海に向かってうたをうたうようになった。 かえるべきところから遠くへだてられ、 さまよいつづける哀しみをたたえたその声を、 ひとたび耳にしたものは、 ひとつの命でしかない小さな自分をとりまく 広い大きな世界とたゆとう時の流れに魂をゆすぶられ、 ただ涙をこぼしつづけるだけになってしまった。 1a597ccc-baf8-4293-9aad-8f43040c737d
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