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「あー。日向さんですか……。あのアイリが蓮くんと楽しそうに話しただけで嫉妬ですか? 蓮君も迷惑しているので外野は静かにしていてもらえませんか? ね、蓮くん!」
「そうだぞ。アイリちゃんの言う通りだ。お前、消せって言った事、ちゃんとアイリちゃんに謝れよ?」
「あ……。そう、もう何でも良いけど、そろそろ学校だし、ケータイしまったら?」
日向は可哀想な人を見るような冷めた目で俺達にそう言った。
「それもそうだな、じゃアイリちゃんまたあとでな」
「はい! 蓮くんも学校、頑張って下さいね」
俺はケータイの電源を切るとケータイをポケットの中にしまった。
校門を通過するとすぐ玄関前にハエのように群がるうちの学校の生徒達が目に入った。
「ほら、蓮が出るの遅いからもうみんな集まっちゃったじゃない」
「別に俺が悪い訳じゃないだろ。コイツらが早く来過ぎるのが悪いんだよ」
「何それ、すっごい自己中じゃん」
これでも今日はいつもより早く出たつもりだからな、それより早いアイツらは異常だ。
「そう言えばお前も理系クラス選んだんだよな? 同じクラスになれるかもな」
「え? 何蓮君、もしかして私と同じクラスになりたいの? そうなら正直に言えばいいのに〜」
「いや別にそう言うわけじゃ……」
実は友達が少ないから一緒のクラスになりたいなんて口が裂けても言えない。
「……お? 蓮! めっちゃ久しぶりだな覚えてるか? 俺だよ俺。俺たち同じクラスになったぞ!」
群れから離れた一匹のハエがそんな事を言いながらこちらへ向かってきた。
「蓮、友達……?」
日向が不思議そうに言った。
「知らん」
「嘘つけ! 俺だよ俺、聖夜だよ。去年あんなに仲良くしてただろうが! たった二週間で友達の事忘れちまったのかよ」
そう言えばそんな奴いたな。たしか坂山聖夜だったけか? あっちが一方的に友達と言っているだけで友達とは思ってはいなかったんだがな。
「お! 隣にいるのって日向さんか? そう言えば日向さんも同じクラスだったぜ。これから一年間よろしくな」
体中の緊張が一瞬にしてとけた。正直こいつと二人でまた一年過すのかと思ったから安心した。
「良かったじゃん蓮。私と同じクラスだってさ」
「本当に良かった……。教えてくれてありがとうな聖夜、もう帰っていいぞ」
「帰る訳ないだろ! 俺も今から学校だよ」
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