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そのまま階段を降りるとすぐ俺達は多目的室の前に着いた。
「ほら! みんな待ってるから早く中に入って!」
日向はそう言うと多目的室のドアを開けた。多目的室の中にはさっきの女子生徒と、それを慰めるように先輩の高橋恵理奈と川石舞が頭を撫でていた。
「み、皆さんおはようございます……」
「あら、おはよう野獣君ようやくお目覚めのようね」
舞先輩が朝一からそんな冗談を言ってきた。いや……野獣って俺そんなあだ名つけられるような事、別に何もやってないだろ。
「おい蓮、お前何したんだ? この子、お前を起こしに行ってきたと思ったら泣いて戻ってきたんだぞ」
恵理奈先輩がそう言った。
「別に何もしてませんよ。俺が着替えてる時に、その子が勝手に俺の部屋に入ってきただけですよ」
「ほぉ……。本当に何もしてないのかしら。本当は『何もしないから』とか言って、この子を部屋に連れ込んで泣かせるような事したんじゃ無いのかしら?」
いきなり舞先輩は何を言いだしているのだろうか。本当、面倒くさいから、この人には黙っていて欲しい。
「えっ……。そうなの?」
真に受けたのか日向はそう言うと俺から少し距離を取った。
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