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「そんな訳ないだろ。大体、俺がそんな事する訳無いだろが、舞先輩も勝手な言いがかりはやめて下さい」
「やだ、ちょっとした冗談よ」
舞先輩はまったく反省するそぶりを見せなかった。
「っあの!」
泣いていた女子生徒がそう言うと目の周りを赤くしたまま立ち上がった。
「先輩は何も悪くありません。悪いのはそういう物に耐性が無い私です。だから、先輩を責めないであげて下さい」
凄く力強い声だった。よく言った。
「久美ちゃんがそう言うなら、私はいいんだけど……」
「朝から皆さんに迷惑をかけてしまい、本当にごめんなさい」
多分、久美とかいう後輩は、そう言って立ち上がり一人一人に頭を下げた。
「ほらっ。蓮も謝って、ほら早く」
「いや、何で俺が謝んなきゃいけないんだよ。もうあっちが謝ってくれたし……」
日向の目が急に鋭くなった。ああ、これは謝っておいた方がいいな。
「まぁ俺も悪かったよ、すまん」
納得はいかなかったが、ひとまずこれで、もう攻められる事はないだろ。多分。
「よし! ならこれで一件落着だな。じゃ朝礼を始めるからみんな丸くなってくれ」
朝から何だったんだよこの茶番は! 完全に被害者、俺じゃねぇか。
恵理奈先輩がそう言うと俺達五人は円をつくるように並んだ。そうこの寮の生徒はこれで多分全員だ。俺以外、全員女子だ。
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