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だが決して女子寮では無い。例えこの寮の名前が特別生徒用女子寮であったとしても、俺と言う例外がいる限り女子寮とは呼べない。
この寮は家の都合でどうしても家に戻れない生徒達が集団で暮らす為に建てられた。昔は男子寮もあったのだが、俺が入学すると同時に潰れたらしい、おかげでコイツらと一緒に生活する事になった。
「まずは私からだ。今年から寮長を務める事になった、高橋恵理奈だ。朝から少し騒がしかったが、今日は新学期初日だ。これからもっといろんな事があると思うが、皆で乗り越えて行こう。今年一年よろしく頼む」
驚いた。確かに俺はあまり好かれては無いと思っていたが、まさか今年の寮長が俺に内緒で勝手に決められていたとは。
「あら次は私ね。私は副寮長の川石舞よろしくね。正直、特に喋る事もないけれど、一つ挙げるなら、さっき久美さんが言っていた『そう言う物には耐性が無い』のそう言う物がいったい、体のナニを指しているのか少し気になる事かしら。まぁ過ぎた事だから余り気にはしないけれど」
何でいちいちそう言う話ばっかりするんだよこいつは。ナニじゃなくてただのパンツだろうが。
「ほら蓮、次はお前の番だぞ」
「っあ、すみません。えっと俺は熊谷蓮です。一応この寮、唯一の男子ですが、どうかよろしくお願いします」
俺は軽く一礼した。
「それじゃ。私は松井日向、蓮とは同級生なの。今日は蓮が迷惑をかけて本当にすみませんでした。一応私からも謝っておきます」
日向は軽く一礼すると、頭を下げたままこちらを睨んできた。まさか、俺も?
俺は訳も分からず『ごめんなさい』と言い頭を下げた。てか俺は朝から何回頭を下げれば気が済むんだ?
「あと一年間よろしくお願いします」
「よし、じゃ次は久美ちゃん、みんなに自己紹介を頼む」
「は、はい!」
そう言うと女子生徒は呼吸を整えハキハキを喋り出した。
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