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今尾めぐみは、俺と喋ってにこにこ笑ってるけど、男としては右利きの俺なんか屁とも思っちゃいないだろう。だから一刻も早く、とにかくクラス替えまでに俺は左利きの男にならなければならない。
「あれ? 早野君って左利きだっけ?」
休憩時間。ハサミを使う場面がやってこないので、仕方なく自分からお道具箱のハサミを取り出し、意味なくプリント用紙を切っていると、今尾めぐみが訊いてきた。
「ん? ああ、実は両利きなんだよね」
とりあえず今のところは両利きという事にしておく。
「私のハサミも左利き用なんだけど、昔は売ってる店少なくて、見つけるのに苦労したんだよねー」
「そうそう、そうだよねー」
いいぞう。君と同類ということを強調しておく。
5時限目はパソコン通信の授業だ。俺は家でも学校のパソコンでも、左利き用のマウスを苦労しながら使っていた。
ところで学校のパソコンにはチャットアプリがインストールされている。もちろん私用は厳禁だが、クラスの賢い奴がログを残さずにチャットできる方法を教えてくれた。
授業が始まって早速、今西啓司からチャットが来た。
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