トカゲのアレックスの意外な一面

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トカゲのアレックスにはお母さんがいます。 ちょっと生意気なアレックスもお母さんには弱いのです。 今日は久しぶりにトミーくんをからかいに行こうかな…と考えていると、お母さんが声をかけて来ました。 「アレックス、ちょっとおつかいを頼まれて頂戴?」 「これから用事があって…」 ちょっと遠慮して返事をすると、お母さんは言いました。 「いつも暇そうにしているんだから、たまには言うことをお聞き」 アレックスは舌打ちをしながら「わかったよ」と答えると、お母さんに怒られてしまいました。 「舌打ちはやめなさいといつも言っているでしょう?」 「…ごめんなさい」 アレックスは、お母さんの言うことを聞いておつかいに行くことにしました。 「行ってきます」 おつかいは、湖の近くにある薬草を採りに行くことでした。 「あーあ、なんで、このぼくがおつかいなんて。誰かに会ったらやだなあ」 つい独り言が出てしまいます。 もう少しで薬草のある場所です。 アレックスはプライドが高く、おつかいをしているところを誰にも見られたくありませんでした。 そして、お母さんに弱いことも知られたくありません。 「さっさと終わらせて帰ろう」 「もしかして、アレックスくん?」 なんとはりねずみのトミーがひなたぼっこをしていたのです。 「あ、トミーくん…」 「もしかしてお母さんのお手伝い?」 「べ…別に関係ないだろ」 つい、恥ずかしさからぶっきらぼうに答えてしまいました。 でも、トミーはアレックスが恥ずかしがっているのを知っているので怒ったりしません。 「ぼく、今日は帰るね。アレックスくん頑張ってね?」 アレックスはすこしだけ心がちくりとしました。 そして、小さな声で、「トミーくんごめんね…」と謝りました。 ぼくも素直になれたらいいのにな…と思うアレックスでした。
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