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オープニング
僕は妻が嫌いだ
こんなことを考えるようになったのはいつからだろうか
好きになって付き合って
好きになって結婚したはずなのに
家に帰りたくなくなった
ずっと仕事場にいたくなった
僕が描いていた結婚生活って、こんなんだったっけ?
仕事が終わったらすぐに家に帰る
家に帰れば妻がお風呂を焚いて、ご飯を作って待ってくれている
いつか子供も出来るだろう
「パパ~!」と言って玄関に出迎えてくれる
そのうちに子供も大きくなって、反抗期を迎え、大人になって、自分も妻も幸せに静かに歳をとっていく
はい、申し訳ありません
頭の中がまるでお花畑だ
そんなことを考えていたあの頃の自分を叱りつけてやりたい
しかし、すべてが思い通りにいかなくとも、ほんのささやかな幸せくらいは与えられるものだと信じていた
それは、まったくの間違いであった
自分には、ほんのささやかな幸せすら与えられなかった
家に帰りたくない
家に帰りたくない
家に帰りたくない
仕事に行っている日は、そんなことばかり考えていた
仕事に行きたい
仕事に行きたい
仕事に行きたい
家にいたくない
家にいたくない
家にいたくない
仕事が休みの日は、そんなことばかり考えていた
つまり、心と体を休めるはずの場所である「家」に、少しでもいたくなかった
それはどうしてか
僕の妻はうつ病だった
これは、僕とうつ病の妻との地獄の結婚生活を描いた物語
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