蜘蛛

4/6
前へ
/187ページ
次へ
あれだけ沢山いた蜘蛛の影が全く見えなくなってしまった。 理由がわからないので上に尋ねてみたところ、 『あの蜘蛛には活動期と休眠期があり、三年間活動し、三年間休眠する。』 と言われた。 と言うことは、休眠期に入ったと見るべきで、三年間待たなければ倒せないと言うことか。 正直、ホッとした。 三年という時間を手に入れたので、徹底的に技を磨こう。 おっと…蜘蛛のために生活に困っている人が1人いた。私は慌てて昇に連絡をいれ『縁』再開のオッケーを出した。 再開オッケー出さずに三年も待たせたら『縁』は干からびてしまう^^; さて、蜘蛛対策の時間的猶予はあと三年間。 私は様々な準備をして、蜘蛛討伐に備えることにした。 早撃ち…蜘蛛に対応するために、蜘蛛の動きより早く撃てなくてはならない。 当面は早撃ちの実現に専念する事にした。 来る日も来る日も早打ちの訓練。 一年も経つ頃には霊視開始から0.5秒程度で撃てるようになってきた。 とりあえず第一の目標はクリアできた。 だが、この技が蜘蛛に通じるか確認していないため保険をかけたい。 つまり、もう一つ何か手だてを用意しておこうと考えたのである。 何か良い方法はないか。 来る日も来る日も考えた。 半年ほど経ったある日の事。 たまたま出先でゴキブリ取り用の粘着シートに蜘蛛が張り付いているのを見た。 私の脳裏に衝撃が走った。 これだ!これしかない! そう思うと、即座にアイデアをまとめた。 粘着シートを霊的に作って置いておくのではあまりに能がない。 そこで結界を工夫することにした。 普通の結界では効かなかったが、結界の性質を少し変えて、表面に粘着性を持たせる。 そこに触れた霊や魔物を捕獲するという作戦である。 しかも、単に捕獲するだけでは面白くない。 結界の性質を更に変更し、魔物が触れると溶けるようにしてみた。 新しい結界の構想もまとまったので、次はこの新しい結界を張ることに専念したで。 最初の頃は上手く行かなかったが、何ヶ月も繰り返し結界を張っているとだんだん思うようになってきた。 試しに憑依されやすい友人に張ってみたところ、1日で沢山の魔物が結界にくっつき、しかも半分くらい溶けていることを確認した。 これなら行けそうだ。 よし、これならいける。 そう確信し、私は来たる日のために、早撃ちと結界の技を磨くことに没頭した。
/187ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1008人が本棚に入れています
本棚に追加