執着

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私は女性に話した。 『わかりました。別れ話が原因のようですね。現状について処置はしますが相手の想いは簡単には消えません。繰り返し念は飛んできますので、処置も繰り返ししなければなりませんので、その覚悟が必要になります。 まず、現状について処置をしますね。今回は単独料金になりますがよろしいですか?』 女性から了解を得て、私は頭に刺さった剣のようなものを抜き、出来てしまったパイプを外しました。 そして霊体を修復し、女性に尋ねました。 『体調はいかがですか?変化ありました?』 女性は答えた。 『頭痛が消え、視界の歪みとかすみも消えました。』 私はさらに説明を続けた。 『相手は生身の人間。あなたに対して想いを持つ限り同じ事が続きます。処置として結界を張りますが、相手の念は執拗に飛んできますので劣化してしまい長持ちしないのです。そのため、結界は定期的に張らねばなりません。』 女性は恐る恐る質問をした。 『いくらくらいかかるのでしょう?』 私は答えた。 『普通の清算をするとおそらく高級車が新車で買える金額になるでしょう。 ですので、考慮はしますが、とても厄介なので大幅に安くなる話ではないですね。』 女性は絶句する。 私はさらに続けた。 『実際問題、かなり時間がかかる話になりますので、私の方も覚悟が必要であり、安易な請け方はできないのです。』 この時は折り合いが付かず請けなかったが、類似の経験談を書くのなら…それは根気と霊力をとことん使うハードな案件であった。
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