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「ヒッ…………」
王子が後ろを見て泣きそうになりながら声を上げた。
果たしてこいつを本当に王子と呼ぶべきなのだろうか疑問に思えてきた。
その時、虫がねばねばな種を王子に吹きかけようとしていた。
俺が間一髪で王子の手を引いて助けたんだけど。
「ちょ、王子固まってたらすぐにあのねばねばな種の餌食になるよ!?
正気に戻れって!」
俺がそう言うと王子はハッとしたように俺の顔を見た。
そしてふん、と鼻を鳴らして俺の横に並んだ。
態度だけはいっちょ前なんだから。
虫がさらにねばねばな種を吹きかけようとしているのに気付き、俺達は残りの体力で頑張って走って逃げた。
そしてしばらく先まで逃げた時、前に道がないのがわかった。
「……はっ!?ちょ、ここ行き止まりかよ!!!」
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