episode 1

11/19
前へ
/21ページ
次へ
もう終わったと思ったその時、俺は王子の手に持っている剣に目が止まった。 「………ねえ、王子。 その剣ってああいう虫の化け物でも倒せるの?」 「あ、ああ…この剣は父さんから譲り受けたものでな……どうやら化け物退治の時に使うらしい。」 「ふぅん………」 俺はその話を聞いてふと思った。 もう行き止まりだからこのまま逃げ続けることはできない。 だったらもう戦うしかないだろう、と。 しかし王子はさっき見た通りなら戦えない。 なら答えはひとつ、俺が戦うしかない。 俺は深呼吸をした。 よし、行ける。やるしかない。 俺は覚悟を決めて王子に話しかけた。 「ねえ、王子。その剣ちょっと貸してよ。」 「は…?駄目に決まっているだろう… って、あ!何持っていくんだ!!」 そして、駄目と言った王子の手から剣を奪い取った。 「は!?お前まさか…!!」 王子は察したのかやめろと叫んだ。 俺はそんな王子に軽く笑いかけた。 「大丈夫大丈夫、ちょっくらやってくるからビビリな王子様はそこで待っててよ。 じゃあね〜。」 俺はなんか色々言っている王子に手を振って、震える足で虫の方へと向かった。 「……あ〜、こっわ。」
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

26人が本棚に入れています
本棚に追加