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もう終わったと思ったその時、俺は王子の手に持っている剣に目が止まった。
「………ねえ、王子。
その剣ってああいう虫の化け物でも倒せるの?」
「あ、ああ…この剣は父さんから譲り受けたものでな……どうやら化け物退治の時に使うらしい。」
「ふぅん………」
俺はその話を聞いてふと思った。
もう行き止まりだからこのまま逃げ続けることはできない。
だったらもう戦うしかないだろう、と。
しかし王子はさっき見た通りなら戦えない。
なら答えはひとつ、俺が戦うしかない。
俺は深呼吸をした。
よし、行ける。やるしかない。
俺は覚悟を決めて王子に話しかけた。
「ねえ、王子。その剣ちょっと貸してよ。」
「は…?駄目に決まっているだろう…
って、あ!何持っていくんだ!!」
そして、駄目と言った王子の手から剣を奪い取った。
「は!?お前まさか…!!」
王子は察したのかやめろと叫んだ。
俺はそんな王子に軽く笑いかけた。
「大丈夫大丈夫、ちょっくらやってくるからビビリな王子様はそこで待っててよ。
じゃあね〜。」
俺はなんか色々言っている王子に手を振って、震える足で虫の方へと向かった。
「……あ〜、こっわ。」
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