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「……っ、やっほ〜さっきぶりだね。」
俺は虫に向かって軽快な挨拶をする。
虫は不機嫌そうにねばねばした種を吹きかけてくる。
俺はそれを上手く避けた。これに掴まってしまっては上手く攻撃もできなくなってしまう。
俺はねばねばした種を上手く避けながら虫の弱点を探す。
人間は頭はだいたい弱点だから虫も頭が弱点なのだろうか。
考えていると、後ろから声が聞こえた。
「お前、何馬鹿なことしてるんだ!!」
あ〜もう、来ないでって言ったのに。
俺は上手く避けながら王子に返事を返した。
「何ってこうするしかなくない?
俺が戦うしか方法がないよね?」
俺がそう言ったら王子が俺が戦う…と言おうとしたから言う前に「ば〜か!」と返してやった。
俺だってできることなら戦いたくないし、
早く家に帰ってゲームしたいよ。
俺がそう言うと王子ははぁ!?と声を荒らげていた。
俺はそんな王子のことを無視して虫の弱点を探る。
うーん、やっぱり頭なのかな。
とりあえず頭狙ってみるか。
俺はそう思い、上手く頭を狙える位置を探した。
その時、虫のねばねばした種が肩に少し当たってしまった。
注意はしていたつもりだったのだが、少し逃げ遅れてしまったみたいだ。
ねばねばしていて気持ちが悪い、匂いも嫌だ。
俺はうっ、と顔を顰めつつも頭を上手く狙える場所を探した。
あ、あの木の上なんていいかもしれない。
上手く行けば頭を刺すことが出来そうだ。
俺は上手く避けながら、たまに当たりそうになりながらもなんとか木を登った。
虫は下からずっと鳴いている。
木の下辺りにねばねばした種をずっと打っている。
登っていて気付いたんだけどこの虫は自分より上の位置いるものには攻撃が出来ないみたいだ。
だから木の上にいる俺には攻撃できないわけ。とりあえずは攻撃される心配はしなくていいみたいだ。
俺がほっと安堵していると虫は諦めたのか戻ろうとした、かと思いきやまだ下にいた王子を狙いに行った。
狙い早く変えすぎだろと思いながらも俺は焦って木の枝を1本とって虫の頭に向かって投げた。
そうしたら虫は反応したのか、俺の方へ戻ってきた。単純な虫で助かった。
戻ってきた虫は木を揺らしてきた。
俺は必死に捕まりながら上手く刺せる位置を探す。
そして虫が俺の真下に来た時、俺は剣を虫の頭に刺した。
その瞬間、虫はけたたましい鳴き声を上げて暴れた。そして数分後、動かなくなった。
剣の効果は本当だったらしい。
俺はよかった、と思いながらほっと胸を撫で下ろした。
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