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それから少しして王子は俺を下ろしてくれた。
「あ、えっと……ごめん。」
俺は心配してくれていた王子に向かって頭を下げた。そうしたら王子はふん、と言ってそっぽを向いた。いや子供か。
「……化け物も倒したことだし、そろそろ移動するか。」
俺が立ち上がると王子はま、待て!と言い俺の服の袖を掴んだ。何なのだろうか。
振り向くと、王子は相変わらずそっぽを向いたまま小声でぼそぼそと話し始めた。
「ん?何、聞こえないんだけど。」
あまりにもぼそぼそと話して聞こえないので俺は王子に近付いてまた聞いた。
すると王子は顔を真っ赤にして俺の腕を掴んで引っ張った。俺はバランスを取れずに王子の前にしゃがみ込んだ。
「えっと…何なんです?王子様。」
俺が不思議に思って聞くと王子は俺の耳に手を当てて口を近づけた。
「……腰抜けて歩けないんだよ」
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