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俺がその状況を見て言葉を出せずにいると俺を抱えている絵本の王子様の手が震えているのがわかった。
え、王子様まさか倒せないなんてことはないよね。手めっちゃ震えてるけど。ここで倒せなかったらなかなか王子様失格だよ。
俺がそう思いながらそーっと王子様の顔を見ると王子様はめちゃくちゃ焦った顔でどうしよう…と小さく呟いた。
え、うそでしょ。
倒せないのかよ。
助けに来てくれたのはありがたいけど何とかできないのかよ。
王子様みたいな風貌してるのに。
俺が小さく王子様大丈夫ですかと聞こうとしたところで虫が痺れを切らしたかのように鳴き声を上げた。
え、ちょっとマジで無理なんですけど。
距離近付いてきてるし。
こっちはこっちで王子様心臓バクバクでめっちゃ焦ってるし。
ええ、どうすればいいわけこれ。
このままじゃ俺だけじゃなくて王子様も巻き添えだよ。助けに来た意味なくなるよ。
俺は意を決して王子様に小声で言った。
「俺は大丈夫なんで、逃げてください。」
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