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その唸り声に王子様はビビったのかヒッと声を上げて俺の後ろに隠れた。
王子様、そんなんだったらいくら顔が良くても世の女子が幻滅ですよ。
俺はそう思いながら目の前の虫を見た。
俺の体よりでかいその虫は非常に気持ちが悪かった。
俺はその虫を見て早目に逃げようとした。
しかし、王子様に止められた。
「……なんですか。」
俺があからさまに睨むと王子様は舌打ちをしてから睨み返してきた。
「俺より先に逃げるとは無礼だろう。」
王子様がそう言ってから付け足すように「お前が囮になったら俺が確実に逃げられるだろ?」と言った。
何だこの王子。ゲスすぎるだろ。
俺を人間だと思っていない。
イラッときた俺は「それはお断りです。俺よりあなたの方が見た目が強そうですしすぐ逃げられそうなので囮役に最適では?」と言い嫌味ったらしく笑ってやった。
そうしたら王子は「あ?お前の方がチビだからすばしっこいんじゃないのか?」と言い俺の腕をがっしりと掴んできた。
俺がさらに王子に言い返そうとしたその時、大きな音と共に地面が揺れた。
そして同時に虫のけたたましい鳴き声が聞こえた。
虫が怒ったのか鳴きながら足踏みをし始めたのだ。
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