第1話 パートのシフトが激減

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第1話 パートのシフトが激減

明日からどうしよう…! 小学校3年生の息子祐太と暮らすシングルマザーの理香は途方にくれていた。 「コロナウィルスでお客さんもいつもの半分もない状況でね、君たちには申し訳ないが勤務日を減らさなければいけないんだ。本当に申し訳ない」と店長の言葉が理香の頭の中でガンガン響いてくる。 理香は大型書店に勤めて7年が経っていた。息子が1才の時に離婚してから、ずっとこの職場で働いてきたのだ。 学童保育に息子を迎えに行き、家へ帰宅すると大きくため息をついた。 「ママ、どうしたの?」 「何でもない、さて夕飯の支度しなきゃね。祐太はイチにカリカリあげてね」 イチは小さな頃に捨てられていた猫で、ミィミィ鳴いていたが、元々ガタイが良く今は犬かと思うほど大きくなっていた。 食べる量も半端ない。 その夜、理香はコンビニから持ってきたアルバイト・パート情報誌を見ていた。 『どこも人員やシフトの削減に決まっているわ、とにかく働けるところを直接あたるしかない。早い者勝ちかもしれない』 祐太と一緒に寝ているイチの寝顔を見ると、理香はパチリと照明を消した。
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