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第2話 アルバイト探し開始!
「んにゃ~」猫のイチに顔をなめられて目を覚ました梨香。
「あんたって本当に不思議よね、毎日きっかり6時に起こしにくるんだから」
起きて顔を洗うと朝食の支度をしながら「イチ、祐太を起こして来て。そうじゃないとご飯もらえないよ」と梨香が言うとイチは祐太を起こしに行きました。
「ママおはよう」祐太は起きてくると、眠い目をこすりながらイチにご飯をあげ、水を変えます。
イチはガツガツ食べ始めます。
祐太が迎えにきた友達と学校へ行くのを見送った梨香。
冷蔵庫に磁石でとめた『保護者の皆さんへ-コロナウィルスのため授業は午前のみとします』というお知らせをチラリと見ました。
給食は無しになり、お弁当を持って学童へ行かせなければなりません。
「さて!今日はとにかく仕事を探さなきゃ」と近くのコンビニから雇ってもらえないか電話で打診しました。
コンビニの店長さんは「週に1回だけれどそれでもよければ。とにかく出来るか1度来てみますか?」と言うものでした。
梨香は履歴書を用意してコンビニへ面接に行きました。
水曜日だけという条件で働けることになり、1つ仕事が見つかりました。
テイクアウトのある所ならば、需要があるかもしれないと思った梨香はハンバーガー店に電話をして面接に行きました。
店長さんは厳しそうな中年の女性です。
「朝8時から夕方5時だけど大丈夫?」と怪訝そうな表情で聞きました。
「はい、雇っていただけるならば頑張ります」と梨香は答えました。
家へ戻って週に1度の書店とコンビニ、そしてハンバーガー店の給与を計算しました。
休みは日曜日しかありません。
今まで行っていた書店のパート代には1~2万円少ないことがわかりました。
何年も勤めていた書店は時間給が高かったからです。
『どうしよう、でもコロナで働ける所が見つかっただけでもラッキーだったと思わなくてはならないわ』
梨香はふぅ~と大きな溜め息をつきました。
『もうこんな時間、祐太を学童へ迎えに行かなくちゃ!イチ一緒に行く?』と言うとイチは開けた車のドアから飛び乗りました。
「ありがとうございました」と祐太を連れて車に戻ると、何人かの子供たちが車の中のイチを見ています。梨香は『撫でてみたい人いる?』と聞くと集まった子供たちの目が輝きました。
「ねえ祐太のお母さん、いつから猫を飼ってるの?」とイチを撫でていた子が聞きました。
「そうね、4年前くらいからかな」と答えると「デカい!俺ビックリしたよ、犬くらい大きい」とイチを取り巻いていた子供たちが口々に言いました。
「またイチをよろしくね」と言うと、祐太とイチを車に乗せて家へと向かいました。
確かにイチは体重が10キロあり、とにかく大きいです。だけど、子供たちが撫でることができるほど性格はおっとりとして優しいのです。
梨香は祐太に仕事について話さなければなりません。「宿題をしたら少し話しがあるんだけど」と梨香は言いました。
「宿題は学童でしてきたから」との祐太の返事に「ママね、コロナのために今までの仕事が減ったの、それでコンビニとハンバーガー店で働くことにしたの」と梨香は説明しました。
「少しお給料が減るけど、ごめんね」と言うと「うん、わかった」と祐太のはっきりとした返事が返ってきました。
「さて!夕飯の準備するから祐太はイチにご飯あげてね、そして今日は一緒にお風呂に入ろうか?」
「明日から頑張るぞー!」
「ママ頑張れー!」
お風呂では梨香と祐太の賑やかな声が響いていました。
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