浮気

2/4
前へ
/11ページ
次へ
 そう思いつつ、まゆみとの浮気契約の期限が迫っていく中で、その日はホテルのオシャレなバーで二人で飲んでいると、まゆみの方から部屋を取ってあると誘われ、良一は酔っていたこともあり、なんの疑問も持たずに、まゆみの後に続いた。  部屋に入ってからは、まゆみは真っ先にバスルームに入った。程なくして聞こえてくるシャワーの音に、良一はまゆみの裸を想像して、股間を膨らませた。  何を考えているのか。  酔っていた良一だったが、部屋の冷蔵庫に入っていたペットボトルのミネラルウォーターを一気に(あお)って、正気に戻った。  確かにまゆみは浮気相手だが、本当の浮気相手ではない。彼女は仕事だから、そう演じているだけだ。自分に向けられる好意も全てそうなんだと、必死になって自分に言い聞かせても、股間の膨らみは収まらなかった。  しばらく、良一が悶々(もんもん)としていると、バスルームの扉が開き、まゆみに声をかけられた。 「どうしたんですか?」  振り返った先にはまゆみが白いバスローブを着て、タオルで長い髪を拭いていた。首元から(したた)る水滴が胸元に落ちるのが見えて、良一は唾を飲んだ。まゆみに目が釘付けになっているのをごまかすように、目を少し逸らして訊ねた。 「これから、どうするんだ?」
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

56人が本棚に入れています
本棚に追加